掛川の不動産売却にかかる税金~譲渡所得と3000万円控除~
この記事の要点
- 課税対象は売却額ではなく譲渡所得(売却額−取得費−譲渡費用)
- 取得費が不明なら売却額の5%を概算取得費にできる
- 税率区分は築年数でなく売却年1月1日時点の所有期間で判定
- 居住用財産は所有期間を問わず最高3,000万円を控除できる
- 控除は確定申告が必須で、税額0円でも申告が必要
譲渡所得の計算方法~取得費・譲渡費用・税率の考え方~

税金の計算では、売却によって生じた利益から、適用できる特別控除を差し引きます。基本式は次のとおりです。
- 課税譲渡所得金額=売却金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
土地・建物の譲渡所得は、給与所得などと分けて計算する分離課税です。3,000万円特別控除も、売却価格から直接引くのではなく、取得費・譲渡費用を差し引いた後の譲渡所得に適用します。
取得費と概算取得費
取得費には、購入代金・購入手数料・設備費・改良費などが含まれます。登録免許税・不動産取得税・印紙税も、事業所得などの必要経費に算入していなければ対象です。建物は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。
購入時の金額が分からない場合は、売却金額の5%を概算取得費として使えます。3,000万円で売った場合は150万円です。ただし、実際の取得費が5%を超えるなら、実額で計算したほうが譲渡所得を抑えられます。購入時の契約書や領収書を探しておきましょう。
譲渡費用として差し引けるもの
譲渡費用は、不動産を売るために直接かかった費用です。主な対象・対象外の費用を整理します。
譲渡費用になるもの | 原則としてならないもの |
|---|---|
仲介手数料 | 修繕費 |
売主負担の印紙税 | 固定資産税 |
貸家の立退料 | 売却代金の取立費用 |
建物の取壊し費用 | 資産の維持・管理費 |
測量費や、有利な条件で売るために既契約を解除した際の違約金なども、対象になる場合があります。費用の名称だけでなく、売却のために必要だったかを確認しましょう。
所有期間5年を境に変わる税率
税率は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかで決まります。建物の築年数で判断しないように注意してください。
区分 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税を含む合計税率 |
|---|---|---|---|
長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得(5年以下) | 30% | 9% | 39.63% |
相続・贈与で取得した不動産は、原則として被相続人・贈与者の取得時期を引き継ぎます。売却時期によって長期・短期が変わる場合は、契約前に確認しましょう。
3,000万円特別控除の適用条件と使い方を具体例で確認

マイホームの売却では、要件を満たすと、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。譲渡所得が3,000万円以下なら、課税譲渡所得が0円になる場合もあります。
対象には、現在住んでいる家屋・敷地のほか、以前住んでいた家屋なども含まれます。以前の自宅は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。
家を取り壊して土地を売る場合は、取壊しから1年以内の売買契約などが条件です。契約までの間に貸駐車場などに使うと、適用できない場合があります。
適用できない主なケース
売却相手・期限・過去の特例利用・居住の目的によっては、控除を使えません。主な対象外のケースは次のとおりです。
- 親子・夫婦など特別の関係がある人へ売却した
- 住まなくなってから所定の期限を過ぎて売却した
- 前年・前々年に3,000万円控除など一定の特例を受けている
- 特例を受けることだけを目的に入居した家や、一時的な仮住まい、別荘を売却した
共有名義の自宅は、共有者ごとに適用要件を判定します。対象者1人につき、最高3,000万円まで控除できます。
控除あり・なしの税額イメージ
長期譲渡所得の合計税率を20.315%と仮定した場合の比較です。控除の有無で税額は大きく変わります。
譲渡所得 | 控除なし | 3,000万円控除あり |
|---|---|---|
2,500万円 | 約508万円 | 0円 |
4,000万円 | 約813万円 | 約203万円 |
実際の税額は取得費や譲渡費用、他の特例などによって変わります。
他の特例との関係
10年超所有の軽減税率は、3,000万円控除と併用可能です。一方、マイホームの買換え特例とは併用できません。住宅ローン控除も、特例を利用した年との前後関係で適用が制限されます。
複数の特例が使えそうな場合は、併用の可否と、どの制度を選ぶかを申告前に比較しましょう。
3,000万円控除以外にも使える譲渡所得の特例

相続空き家の3,000万円特別控除は、昭和56年5月31日以前に建築された一定の家屋などが対象です。令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上なら、1人あたりの上限は2,000万円となります。売却代金1億円以下などの要件もあり、通常のマイホーム控除とは異なる制度です。
譲渡所得税以外にかかる税金・費用
売却では、譲渡所得への税金のほかに、印紙税・登記費用・仲介手数料などもかかります。
売買契約書には契約金額に応じた印紙税がかかります。売主が負担した印紙税や仲介手数料は、譲渡費用として差し引けます。
住宅ローンが残る場合は、抵当権抹消登記も必要です。登録免許税は原則として不動産1個につき1,000円で、土地1筆と建物1棟なら合計2,000円です。司法書士に依頼する場合は、別途報酬がかかります。
掛川で不動産を売却した場合の確定申告
特例を使う場合は、税額が0円でも確定申告が必要です。掛川市を納税地とする場合、原則として掛川税務署へ申告します。
申告するのは、売却した年の翌年の確定申告期間です。受付期間は年によって変わるため、申告する年の国税庁の案内を確認してください。
掛川税務署は掛川市緑ヶ丘二丁目11番地4にあり、JR掛川駅から徒歩15分です。面接相談には事前予約が必要です。掛川市役所では、公共事業以外の土地・建物の譲渡に関する申告は受け付けていません。
申告前にそろえたい主な書類
- 譲渡所得の内訳書(土地・建物用)
- 売買契約書の写し
- 取得時の契約書や領収書
- 仲介手数料・印紙代など譲渡費用が分かる資料
- 登記事項証明書など
- 戸籍の附票の写し(必要な場合)
所得税・復興特別所得税は、確定申告で申告・納付します。住民税は翌年6月以降に反映されるため、売却翌年の資金計画にも入れておきましょう。
税金で後悔しないための注意点
税額を左右するのは、取得費の資料・所有期間・特例の適用条件です。購入時の資料がなく概算取得費5%を使うと、実額で計算するより譲渡所得が大きくなる場合があります。
所有期間の判定日は、売却日ではなく売却年の1月1日です。短期の合計税率は39.63%と長期より高いため、所有期間が5年前後なら特に注意しましょう。
3,000万円控除は、親族への売却や期限超過、取壊し後の利用状況などにより対象外になる場合があります。判断に迷ったら売買契約前に、税務署や税理士へ相談してください。
まとめ
まず、取得費・譲渡費用を整理して譲渡所得を見積もりましょう。マイホームの3,000万円特別控除など、利用できる制度を確認すると税負担を把握しやすくなります。
特例は自動適用されず、税額0円でも確定申告が必要です。契約書や領収書をそろえ、所有期間・売却期限に不安があれば、掛川税務署や税理士へ確認しましょう。
※ 掲載内容は執筆時点の情報です。最新情報は各自治体・関係機関の公式ホームページをご確認ください。
出典
- No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm
- 土地や建物を売ったとき|国税庁 — https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm
- No.3252 取得費となるもの|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3252.htm
- No.3258 取得費が分からないとき|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm
- No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
- No.3314 過去に居住していたマイホームを売ったとき|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3314.htm
- No.3308 共有のマイホームを売ったとき|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3308.htm
- No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm
- No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm
- No.3255 譲渡費用となるもの|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm
- 家族信託した不動産の売却|流れ・注意点・税金を司法書士が解説 — https://mirasia.or.jp/mirasia-times/family-trust-real-estate-sale
- 市県民税・所得税の申告 - 掛川市 — https://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/gyosei/docs/15183.html
- 掛川税務署|名古屋国税局 — https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/location/shizuoka/kakegawa/index.htm
- https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/pdf/0024012-132.pdf — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/pdf/0024012-132.pdf
- 不動産売却における譲渡所得税とは?税金の計算方法と特別控除 - HOME4U — https://www.home4u.jp/sell/juku/course/basic/sell-300-26338
- No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
よくある質問
- 不動産を売ったときの譲渡所得は、どう計算しますか?
-
譲渡所得は「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」で求めます。3,000万円特別控除などの特例が使える場合は、さらに特別控除額を差し引いた金額が課税の対象です。土地や建物の譲渡所得は給与所得などとは分けて計算する分離課税ですが、確定申告は他の所得と一緒に行います。国税庁の令和8年4月1日現在の案内に基づく考え方です。
- 取得費が分からないときや、購入代金の資料がないときはどうすればよいですか?
-
取得費が不明な場合や、実際の取得費が譲渡価額の5%を下回る場合は、譲渡価額の5%相当額を概算取得費として使えます。たとえば3,000万円で売却したなら、取得費は150万円とできます。ただし実際の取得費が分かるなら、そちらのほうが税額は低くなることがあります。購入時の契約書や領収書は探しておくと安心です。
- 譲渡所得の税率は、いくらになりますか?
-
税率は、売却した年の1月1日時点の所有期間で決まります。5年を超えると長期で、所得税15%・住民税5%です。5年以下は短期で、所得税30%・住民税9%になります。所得税には別に復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が加わるため、合計の税率は長期で約20.315%、短期で約39.63%です。築年数ではなく所有期間で判定します。
- 3,000万円特別控除を使えば、必ず税金はゼロになりますか?
-
ゼロになるのは、譲渡所得が控除額の範囲内に収まる場合です。控除額は最高3,000万円で、譲渡所得が3,000万円未満ならその金額が限度になります。売却価格から3,000万円を引くのではなく、譲渡所得から引く点に注意してください。親子や夫婦など特別の関係がある人への売却や、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日を過ぎた売却は対象外です。前年・前々年に同じ特例を使っている場合も使えません。
- 税金がゼロになる場合でも、確定申告は必要ですか?
-
3,000万円特別控除などの特例を受けるには、確定申告が必要です。納める税額がゼロになる場合でも、申告しなければ特例は適用されません。申告書には「譲渡所得の内訳書(土地・建物用)」などを添付し、掛川市の場合は管轄の掛川税務署に提出します。申告期間は年ごとに日付が変わるため、翌年の確定申告期間を国税庁の案内で確認してください。
この記事の著者
中野 安親
代表取締役
静岡県中部エリア(藤枝市・焼津市・掛川市など)を中心に、地域密着の不動産サービスを展開する株式会社SPRING所属。
賃貸仲介から売買仲介、さらにはマンション経営オーナー向けの賃貸管理まで、住まいに関する幅広い領域を担当。
豊富な現場経験と、賃貸・売買の双方にまたがる深い専門知識を活かし、お客様一人ひとりのライフステージやニーズに寄り添った最適な住まい提案を行っている。